病院事務総合職の日記帳

病院事務(総合職)のお仕事を愚痴りながら紹介します

改定対応は現場に丸投げ

病院経営・運営は診療報酬点数表に振り回されます。

これはどんな病院でもそうなんだと思います。

ここ最近の診療報酬改定は単なる点数の改定ではなく、病院の方向性や人の働き方にまで口を出してきていますので、その傾向はより強くなっているんじゃないでしょうか。

 

ウチの病院では、今回の改定でリハビリテーション関連に大きな影響がでてしまったので、現場はどう対応していくか、医事課によく相談しにきてくれました。

しかし、焦るのは現場であって、経営陣は他人事です。これには大きく悩まされました。

 

今回の改定で、大きな運用変更を余儀なくされたのは、入院患者のADL評価でした。

当院ではすべての病棟において、BI(Barthel Index)という評価する側が比較的わかりやすい指標を用いていたのですが、回復期リハビリテーション病棟の実績報告ではFIM( Functional Independence Measure)という指標を使わなければならず、4月からそれに対応せざるを得なかったわけです。

院内のADL評価をBIからFIMに変えなくてはならず、FIMはBIに比べて評価項目、評価段階が細かいため、リハビリセラピストは問題なかったのですが、看護師を早急に教育する必要がありました。

リハビリセラピストは、リハビリの時間だけ患者と接するわけで、常に患者と接しているのは看護師です。トイレ動作、お風呂動作といった、日常の機能についてはリハビリセラピストよりも看護師の方が見る機会も多いですし、FIMの基礎知識がなければ担当するリハビリセラピストにも正しい情報が行きません。

 

院内の機能評価をBIからFIMへ一斉に変えるわけですから、医師や他のスタッフの理解を得る以上、経営陣がやはり決めてほしい部分ではあります。トップダウンというやつです。

医事課が、こういう要件がついてしまった以上FIMに変えなくてはならない、と言ったところで、臨床上のことですから、事務があれこれ決めるのはやはり問題があるでしょうし、スタッフも事務のくせに臨床に口を出すな、となるでしょう。

今回、BIからFIMへの運用変更は結局現場主導、そして丸投げという状況に陥りました。陥った結果、一般病棟と一部の医師は我関せずを決め込んでしまっています。

その結果、回復期リハ病棟のスタッフはかなり苦労を強いられています。幸い、一般病棟のスタッフは説得して協力してくれるようになりましたが…

 

今回、改定の中のFIMを例にしましたが、これに限らず経営陣は診療報酬改定に対して他人事なんですよね。

聞いたところで良くわからない、と言われましたが、こっちからしたら言ったところで理解する気が無いでしょ?と思います。こちらは何度も説明会を開いているのに、参加すらしないわけですから。

今後の診療報酬改定を考えたら、新しい基準の取得や施設基準のランクアップをこれからも考えなければなりません。5年後、10年後、ウチの病院はどんな病院になるのでしょう?ビジョンが見えなければスタッフも患者も離れていくばかりではないでしょうか?

 

施設基準、取れそうなら取って、じゃないんですよ。

取るために何をするかを考えてください。考えられないのであれば、取るために何をすればいいか考えろ、と言ってください。