地域連携と病院経営、若い世代も考えよう
入院稼働というのは病院の収益に大きな影響を与えます。病院経営の心臓です。この病院の心臓を動かしているのが地域連携です。
入院稼働を上げるために、病院では地域連携戦略をはじめ、あの手この手を尽くしていると思います。そんなあの手この手の一つ語ってみたいと思います。
急性期にしろ、ウチの病院のようなポストあるいはサブアキュートにしろ、退院先の確保が行われていないと、スムースな病床回転を行うのは難しいと思います。
治療した全員が在宅、つまりお家に帰ることができればいいのですが、実際はそうはなりませんから。
直近の診療報酬では、7対1までも在宅復帰率要件がついてしまいました。それくらい、在宅復帰率は病院経営にとって大切な指標となっています。
ただ、この在宅復帰率は在宅だけでなく、地域包括ケアや回復期リハのような病棟、在宅復帰率が高い療養病棟・老健も認められております。
つまり、自院の周りにどれだけそういった施設があり、どれだけ連携が取れているかが、在宅復帰率を上げる取り組みのキーとなります。
とはいえ、療養病棟や老健は基準が厳しく、なかなかそういった施設が無い、という地域もあるのではないかと思います。ウチの地域なんかがまさにソレで、療養病棟も老健も数は多いですが、基準を満たしているものはほとんどありません。
では、どうしたらそういった施設が増えるとおもいますか?これからどんどん在院日数は縮小されることが予想されますし、そうなると必要度の高い患者の回転率も上がりますから、当然在宅復帰率にも悪い影響がでるのは想像できます。なので、今が良くてもきっと将来はダメです。つまり、今の良い内に対策を立てて実行しなければなりません。
簡単に言ってしまえば、在宅に帰せるあるいは帰れそうな人を、やる気のある療養病棟や老健に送れば良いんです。
そうした療養病棟や老健には、病院に戻したいけど在宅復帰率が…ということで病院に送れないケースもあると聞きます。自宅に帰せる患者を送れば在宅復帰率は上がりますし、上記のような患者も安心して病院に送れます。
また、そうした取り組みを行うことで、その地域に病院が、厳しい医療政策から生き残り、地域医療崩壊から防ぐことができます。
ウチのような病院は、急性期や療養から患者獲得競争は必要ないんですよね。無理して急性期や療養から掻っ攫って、できないことや不要なことを無理してやる必要は無いんです。これは急性期や療養も同じだと思います。
必要な医療を適切に行える場所で、これが地域連携の本質なんだと思います。だからウチの病院の若い世代もポスト・サブアキュートを担う地域の中核病院として、何をしていくか、何を求められているのか、真剣に考えて院内で訴えていかなければならないと思います。
2025年問題とその先、病院経営の中心にいるのは今の30代ですから。
何事もスタートが肝心
認知症ケア加算2を取得すること、算定していくことが決まりました。
算定要件等については以下を参照してみて下さい。
A247 認知症ケア加算(1日につき) - 平成28年度診療報酬点数 | 今日の臨床サポート
算定のポイントとしては、ざっくり
- 評価漏れと対象患者の算定漏れ防止
- 入院してから如何に早く介入するか
- 抑制した場合の医事課への漏れない連絡
と言ったところでしょうか。
今回これに関しては、いくつかの部門の問題解決に介入していたため、ちょっと手が回りそうになかったのと、大して難しくも無いので、算定手順や要件解説を他の医事課職員に依頼しました。
こういう新しいことを始めるには、大なり小なりスタートが肝心です。特に、他の部門が絡む場合には、スタートするまでにしっかり運用を決めておかないと、後からあれもこれもとなったときに、言うことを聞いてくれませんから。
先月中旬まで進捗報告が無かったのでどうなってるか確認したところ、やはり穴だらけの状況でした。というか、要件をしっかり理解していませんでした。医事課失格です。
まあ、結局その後に裏であれこれフォローして、なんとかしたんですが… 普段からもそうなんですが、責任感が微塵も感じられ無かったので、これはもうダメですね。
とりあえずしばらくは算定状況をチェックして問題が無いか、しっかり確認しようと思います。
人が少ないと駒が限定されるので辛いですね。育てなければならないのはわかりますし、育てられない方がダメとも言われますけど、そもそもの人格がダメだと何してもダメなんですね。これが現実と、今回の件で良くわかりました。
人事部を恨みますよ、ホント…
病床コントロールは病院全体で
一般と回復期を持つケアミックス病院において、診療単価を上げるに最も手っ取り早い方法は、病床コントロールです。
回復期リハ病棟の対象患者、地域包括ケア病棟の対象患者がどれだけ一般病棟に埋もれているか、ちゃんと見てますか?
ウチの病院では、私が自主的に一般病棟と地域包括病棟に入った患者について、入院後1週間、2週間の状態をチェックして、診療面と収益性から転棟を検討してほしい患者をピックアップして、病床運営委員会に提出しています。
埋もれやすい患者は大体決まっていて、大体は廃用症候群の患者です。ただ、診療面に関しては事務が口を出すのは変な話ですし、診療上あえて一般床のままにしているケースも当然あります。そこは事務ではわからないので、対象患者のピックアップのみとしています。
本来であればこういったピックアップ作業は看護師を交えて行いたいところではあります。というか、看護師やケースワーカーを交えてやっている病院は少なからずあります。
ウチは経営に疎いので、なかなか実行はされません。
病院は収益を、利益をってあんまり考えないんでしょうけど、すべての職種において、せめて管理職くらいは考えてほしいものですね〜
リハビリテーション充実加算
リハビリテーション充実加算について触れたいと思います。
リハビリテーション充実加算は以下の基準を満たした場合に、入院料に40点加算されます。
回復期リハビリテーションを要する状態の患者について、各疾患別リハ料を一日当たり6単位以上算定していること。
回復期リハビリテーション病棟を複数届け出ている場合には、届け出ている全ての病棟で満たす必要があります。つまり、病院全体で6単位以上算定していても、どこか1病棟でも6単位未満となってしまったら算定できません。
入院料の加算のため、その収益効果はとても大きなものがあります。
40床であれば365日×400円で年間584万円です。回復期リハ病院を運営していれば、少し頑張って取りにいきたい加算だと思います。
というか、回復期リハビリテーション病棟なら算定しなければこの先生き残れないと思いますよ。
ここからはちょっと愚痴になるんですが、うちの病院は100床以上の回復期リハ病床があるので、年間で1500万円以上の収益効果があります。ただ、経営陣はこの加算取得に非常に消極的な印象があります。
病院全体では6単位いってるんですが、一部の病棟で満たしていない状況で、満たしている病棟と満たしていない病棟で1単位以上の差があります。この状況って結構面倒というか、厄介で、充実加算とれないのに面倒くさいFIM実績の報告をしなきゃならないんです。
少しの工夫で貰えるものがあるんですから、他の細っけぇことなんか無視して、これを少し考えてみるべきだと思うんですけどねぇ。
私の1日のお仕事
病院事務員の1日の仕事の流れをちょっとだけ紹介します。
これは医事課と企画課と電算課のお仕事なので、普通の医療事務とはちょっと違う仕事です。
0830:出社、メールチェック、今日のタスク整理
0845:前日の日計表、稼働率確認、経営状況のメール配信
0900:今日のタスク処理と混雑時の受付対応
1200:昼休み
1300:今日のタスク処理
1645:翌日のタスク抽出
1700:終わり。必要があれば残業
というわけで、私にはルーチンワークがほとんどありません。
企画業務は、院内用の統計資料の作成と、本社宛の統計資料作成、院内のあらゆる部署からの資料作成依頼や経営に関する問題解決のサポート、地域分析や他病院との情報交換、施設基準取得のための調査等があり、短いスパンで何かしら舞い込んでくるので、いつも違う仕事をしています。
ちなみに、今はこの地域における在宅療養支援の必要性について資料を作成しています。
電算業務は基本的に不具合対応なので大したことはありません。よくあるのは、かな入力になったから直して!という感じのアホくさい対応ですね。
医事課業務は、月末・月初の締めやレセプト点検のサポートと、返戻レセプト、レセプト請求とかくらいですね。算定要件や施設基準に関する相談もここにきます。経営に直結するもの以外はそろそろ担当レベルで解決してほしいものですが…
正直、今のポジションは非常に居心地が良いです。現場から離れることができましたし、現場にでるのは何か問題か起きたときだけなので。
ただ、現場にいたときより偉い人と関わらなければならなくなったのがちょっと面倒くさいところです。
脳血管?運動器?延ばしたい回復期期限
個人的にはやって欲しくありませんが、こんなやり取りがありました。
病棟の看護師から、脊椎骨折に対する固定術後の回復期リハビリテーション対象の患者について、看護師からみて、麻痺や痺れなど「髄」の症状が強く出ていて、入院も長引きそうだから、胸髄症の診断で脳血管対象にならないか?
という相談がありました。
医事課に与えられた情報は、転落による圧迫骨折、偽関節、脊椎固定術後、でしたので、「大腿骨、骨盤、脊椎、股関節若しくは膝関節の骨折又は2肢以上の多発骨折の発症後又は手術後の状態」として処理していました。
上記情報を考えると、脳血管対象とするには「脊髄損傷」がある必要があります。
150日の対象は義肢装着と「脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷等の発症後若しくは手術後の状態」ですので。
そのため、150日としたいのであれば、受傷時に脊髄損傷が無くてはなりません。
病棟の言うように、胸髄症で150日としたいのであれば、胸髄症と固定術を関連付ける必要があります。
この辺りは診療に絡む話なのでよく分かりません。延ばしたいなら医師と相談してください、という話になります。
ちなみに、運動器リハの対象に「上・下肢の複合損傷、脊椎損傷による四肢麻痺その他の急性発症した運動器疾患又はその手術後の患者」とあります。
麻痺が「髄」では無く「椎」に起因するという可能性もあるのではないでしょうか?医療は素人なのでよく分かりませんが。
今回、病棟の看護師が医師に150日にしたいから脊髄損傷があれば150日で良いって医事課が入ってるから診断名つけて、と整形医師に依頼するクソみたいなことが発生したわけであります。
で、元々の病院で執刀した医師から胸髄症?胸髄腫瘍?とせずに、脊髄損傷をつけた理由は?と病棟が聞かれ、病棟から何で?と、私がいない時に医事課に問い合わせがありました。
これって、脊髄損傷は無いってことですよね?
根拠も無しに入院期間を延ばしたいからといって、こんなことをやってしまうのはどうなんでしょうか?しかも、医事課が言ってるみたいな言い方しやがります。
今度、質問してきた医師と話す機会ができたので、その時に病棟が勝手にやってしまったこと、と洗いざらい説明しますが…
何でもかんでも医事課が医事課がって…なんだかねぇ
病院事務にはパソコンスキルがつきもの
病院事務に必要なスキルを考えたときに、接遇とか診療報酬の知識とかが真っ先にあがりますが、今回はパソコンスキルについて少し感じたことを書きたいと思います。
たとえ医療事務であろうと、事務でWord&Excelが全く使えませんというのは個人的にアウト。
WordやExcel、医療事務ではほとんど使わない、と言われるかもしれませんが…
医療費の計算をするのは医事システムです。今時手計算で医療費を計算し、レセプトを作成している医療機関はほとんど無いと思います。
このシステムの使い方を覚えてもらうには、簡単なパソコン操作が必要なわけですが、WordやExcelがどのくらい使えるかは、パソコンをどの程度使えるかの指標になります。
体感ではありますが、新人に医事システムの使い方を教えた時に、WordやExcelを使えるかどうかで、差が出ます。ヘルプの使い方や、パソコンの基本的な操作方法を知っているからです。また、使い方がわからないとき、まず自分で調べる、という頭もあります。だから覚えも早いです。
また、医療事務でも簡単な請求書作成や社外・社内文書の作成もありますし、全く使わないわけではありません。
というわけで、今時事務職員がパソコン使えません、というのは通用しないと思います。私が人事なら真っ先に落とします。
パソコン使えないのに事務?なめてんのか?ってなるに決まってます。
まあ、今年の新人君が全くパソコン使えません、という感じだったので、ちょっと愚痴です。